こんばんは、ヤマネコです。
昨年迎えた子猫が、先月一歳になりました。
夏の終わりに保護した時点で、獣医さんに推定してもらった誕生月は6月頃。もしかしたら7月の頭かも、と。あまりに痩せた子猫だったので、先生もふだんより判定に悩まれた様子でした。
保護当時の子猫は、体のどこをさわっても細くて、骨の感触ばかりが際立つ硬さ。私は猫の抱き方に比較的慣れていたつもりだけれど、今回の子は指先の力でも簡単に折れてしまいそうなもろさを感じて、抱き上げることさえ恐ろしいと思うことがたびたびありました。
あまりの貧弱さに、すぐに息絶えてしまうのではないか。
最初の数日間はそんなふうに感じた瞬間もあったので、今年一歳を迎えてくれたことに心から安堵しています。
子猫がある程度太ってくれるまでは心配も続いたのですが、そんな中で私への励ましとなったのは、がりがり猫のやんちゃさでした。むしろの想定外といえるほどの元気さ。
折れるんじゃないかと心配するほどの貧弱な手足で、走るし、跳ねるし、消えるし、先住猫には飛びつくし。もう、動く好奇心のかたまり。
かと思えば私のことも追いかけてきてくれるし。キミはやせっぽちだけど元気なんだな、と。不安ばかりでない子猫育てができたのでした。
彼の好奇心は未だに尽きず、配膳用のトレーの裏側が気になったり、アナログ時計の秒針を見てそわそわしたり、デジタル時計の数字が一分ごとに変わるのを待ってみたり、新しいクッションにのせたらびっくりして跳ね上がったり、私のポケットの中身を確認したりと、毎日何かしら新しいことを発見しては楽しそうです。
私が「当たり前」として見逃しているだけで、わが家には「楽しいこと」が無限にあるみたい。そんなことを教えてくれる新入りでした。もちろん他の猫たちからも驚かされることはあるのだけれど、内容も回数もその比ではないのが彼なのです。
そんな子とおよそ11ヶ月の間、ともに暮らしてきました。迎えて丸一年を前に思うのは、この子が生まれてから、私が出会わせてもらえるまでのこと。母猫はどうしたのか、兄弟はいたのか、あとから保護した地域の野良猫の状況を調べたけれど、そういったことまではわかりませんでした(似た子を見たという情報だけちらほら)。
ただ少なくとも、この子は「人間」にひどいことをされたことはなかったんだろうなと。
たとえば、殴られたり、蹴られたり。
ものをぶつけられたり、追いかけられたり。
そういう経験はしてこなかったのではないか、と確信に近いものを持っています。
この子を保護したのは、私の家族です。見つけたのは職場の近く。同僚の方々も子猫の存在には気づいていたようですが、どなたも「嫌いではないけれど保護はできない」という状況でした。胸が痛いけれど、それは仕方がないことだと思います。
そんな中、とうとううちの家族にもその子猫を見かける機会があって、呼んだらおっかなびっくり近づいてきたのだそう。ごはん(一家そろって小袋キャットフードを持ち歩いています)も食べてくれて、多少の抵抗はありながらも捕獲まで難なくできたようでした。
その直後、箱に閉じこめられ、車にのせられ、勝手に運搬されてしまった子猫は当然お怒りになりまして。私は初対面で威嚇されてしまったのだけれど、そこから子猫がわが家になじむまでには時間もかからず、今となっては「ファミリーのボス」みたいな顔をしてリビングを闊歩しています。
私としては、なんとか兄猫たちを立てようとがんばる日々なのですが。
仮に、保護前の猫が過去に人間から何かひどい仕打ちを受けていれば、そんなことがくり返し起こっていたなら、「すべての人間は怖いもの」だと刷りこまれてしまう。そうなってしまった子が安易に見知らぬ人間に近づくことはありません。
空腹より、警戒心。
飢えより、命だから。
もしこの子もそんな経験をしていたら、捕獲がこれほど簡単ではなかったはず。だから「警戒心が(ほとんど)なかった」というのが、この子の経験を物語っていたのかなと。
彼にとっては生まれてからたった数ヶ月。その間やさしくしてくれた人がどれほどいたかはわかりません。でも、ひどいことをする人にはほとんど出会わなかったのだと思う。それはとても幸運なこと。
あとから少しだけ近隣の方にうかがったお話では「何もできなかった(保護できなかった)」というお声があったのですが、私は「何ごともなかったこと」がよかったと思うし、今になって感謝の気持ちがわいてきました。
できればこうしてほしかった。
次の機会があれば、こうしてほしい。
感情的に求めてしまいたくなることはあるけれど、「猫好き」の気持ちを押しつけてはいけないと思う。結果論として、保護したあとの子が無事だったからいえる部分もあるのですが。実際に近隣住人の方からは、庭で見かけたとか、夜中に鳴いているのを耳にしたといったお話もあり、きっとたくさんご迷惑もおかけした中で、それでも「ほっといてくれたこと」が私はありがたかったです。
さいごに一つだけ。
もし気がかりな猫がいるけれど保護できないとお悩みの方にお願いできることがあるとしたら、近隣の保護団体をさがして受け入れについて尋ねてみてください。どの団体さんも際限なく対応できる問題ではないはずですが、一案かとは思います。
偶然に偶然が重なり、ご縁があって、今はわが家で一歳を迎えたやんちゃ男子。
彼にとっては、結局ごはんにつられて近寄ったら捕獲されてしまったので「だましたな!」とご立腹だったろうれど、今「まあ、この家も悪くない」と思っていてくれたら、と願うばかりです。
本日もおつきあい、ありがとうございました。
こちらからお帰りいただけると、心の支えになります。
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