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失敗した渋皮煮、成功した救出法。

こんばんは、ヤマネコです。

一昨年の秋から季節しごとで栗の渋皮煮をつくっているのですが、三年目の今年は盛大に失敗してしまいました。

できあがった渋皮煮が、びっくりするほど渋かったんです。

栗の渋皮煮

栗の皮といえば、茶色いつやのある「鬼皮」と、その内側にある木肌のような感触を持つ「渋皮」の二枚重ね。

その鬼皮のみを取り除き、渋皮を残したままの栗を砂糖で(レシピによってはみりんや醤油も加えて)煮るのが渋皮煮。

甘露煮や栗ごはんにするときは剥がさなければならない渋皮も、じっくり煮込むことで口の中でほどけるほどにやわらかくなり、もうそれだけで上等な和菓子のようなおいしさを堪能できます。

渋皮には「渋」がある

渋皮を残すからこその渋皮煮ですが、この渋皮部分にはえぐみがあります。本来なら渋皮を取り除くことでこのえぐみもなくなるはずなのですが、渋皮煮をつくるときには他の対策が必要でした。

えぐみを取り除く方法

  • 渋皮を残した栗を煮るとき、重曹を加える。
  • 何度か水で洗いながら強固な筋を取り除き、再び煮る。

そのくり返しでえぐみが消え、しっとりしたおいしい渋皮煮になります。私は渋皮煮をつくり始めて三年目。まだまだひよっこですが、初めてつくった年もその翌年も、失敗することなく自分ではおいしいと思える渋皮煮をつくることができました。それはこの「重曹を加えて煮る」をしっかり実践したからだと思います。

三年目の渋皮煮の失敗

三年目にして挑戦したのが、重曹を使わない方法でした。「煮る・洗う」をくり返す回数が増えるのですが、一度やってみたいと思ったのです(重曹は常備しているので、本当に挑戦したかっただけです)。  

そしてまんまと失敗しました。

渋い!えぐい!びっくりした!

煮終えたときに少しくらいなら渋みが残っていても大丈夫だというネット情報を見て、その「少しくらい」を測りかねたまま仕上げたら、完成した渋皮煮が(冷めるとよりいっそう)ものすごい味だったのです。

食べた瞬間は「言われてみると渋い…かも?」程度なのですが、飲み込んだあと、口の中に広がる渋みの不協和音がすごい。飲み物を用意せずに味見してしまったのを心から後悔しました。

失敗した渋皮煮の救出方法を探す

ネットで対策(主に質問サイト)を探し回りましたが、回答者のご意見は「次回はこうするとおいしくなる(正しいレシピ)」という内容が中心で、「渋く仕上がってしまった栗をどう復活させるか?」という正確な情報(実体験など)は見つけることができませんでした。

でも私の手元の栗は、どうしてもそのままでは食べられない。だからといって捨てるなんて…と散々悩んだ結果、この際だから捨てる覚悟で、いくつか思いつきの対策を試してみることにしました。

失敗した渋皮煮の救出方法

結果的に、二つの方法でなんとか救出に成功しました。

まずは分ける

実際の対策とは別なのですが、渋いシロップに栗を浸したままにしておくことで渋みが更に浸透してしまうのでは?と思い、味に気づいた時点で「栗」と「シロップ」を分けておきました。

シロップは捨ててしまうか迷ったのですが、ひとまずボウルへ。栗はさっと水洗い。

対策1. 渋皮を取り除く

実際の対策としては、まずは一番シンプルに。

※上の画像は「失敗した渋皮煮」ではありません。栗をむいたところの画像をのせたくて代用しました。

味の悪い渋皮を取り除いてしまう、という方法。

実は当初これで対策になると思ったわけではなく、栗のえぐみがどこまで侵食しているのか?を調べるために「実だけ」を味見しようとむいてみました。実食してみると味がひどかったのは「渋皮」と「シロップ」だけのようで、内側はほとんど被害がなく、この方法で救出できると気がつきました。

こうしてむいた栗は茹で栗感覚で食べてもいいし、栗ごはんなどにも活用できます。

対策2. 重曹で煮なおす

対策1の方法ですべての渋皮をむいてしまおうかと思ったのですが、ここで試してみたかったのが「もう一度煮る」という方法。

今度こそ、重曹を加えて。

工程

以下、栗(失敗したもの)は、すべて渋皮煮の基本工程である「洗う」「黒筋を取り除く」などが済み、やわらかく煮上がっていることを前提として書いています。

  1. 失敗した栗を軽く洗い、鍋に移し、かぶる程度の水を注ぐ。
  2. 重曹を大さじ1加え、中火にかける(上の画像)。
  3. 沸騰したら弱火に落とし、五分加熱。重曹を加えているので吹きこぼれに注意。
  4. 五分で火を止め、鍋ごとシンクへ移し、鍋の中に静かに水道水を流し入れる。
  5. 鍋の中の栗がさわれるくらいの温度になったら、栗をそっとザルへ取り出す。
  6. 鍋を洗って、栗を戻す。再びかぶる程度の水を注ぐ。
  7. 今度は重曹を加えずに、中火にかける。
  8. 煮立ってきたら、茹で水を味見。このとき「ほんのわずか」でも渋みがあるようなら、重曹大さじ1を加えて再び弱火で五分加熱。工程4以降をくり返す。
  9. 渋みを感じなくなったら、砂糖を加えて火を止める(量は後述)。
  10. そのまま数時間~一晩放置。

これでおそらく、救出完了です。

砂糖の量について

完成した渋皮煮がまずかった…という状況なので、味つけは終わっているはずなのですが、何度か洗ったり重曹で渋抜きをしているので、私は1kgの栗に対して200~400gの加糖をしました。これは正確に何グラムというよりは、シロップの味を確認しながら行っています。

量によっては二度、或いは三度に分けて加えるのがセオリーかなと思いました。

再加熱時の注意

  • 本来なら全工程終わっている栗なので、そっと扱うこと。

煮すぎてしまうのを覚悟しての挑戦です。渋皮のおかげで、むき栗と比べれば煮崩れはかなり防げるように思いますが、慎重に扱うに越したことはありません。

渋抜きのための再過熱はどうしても省けないものの、熱湯の中に浸す時間をできるだけ短く保つ(余熱にも注意する)ことは大切だと思いました。

シロップの救出について

栗はなんとなくイメージどおりに仕上がりましたが、悩んだのはシロップ。

どうしたものかと悩んだ結果、こちらも鍋に戻しました。
鍋が汚くてごめんなさい(軽く洗っただけでは栗の色が抜けませんでした)。

そしてこのシロップにも重曹大さじ1を加えて加熱。熱することでぶくぶく泡(おそらく灰汁)が浮いてくるので、それをひたすらすくって取り除き続けました。泡がほとんど消えるまで、です。

泡が出なくなってきたら味見をして、渋みが強ければもう一度重曹を足し、同じ作業をくり返します。

その結果、渋みがだいぶ治まったように思います。

そうはいっても完全に理想の味というわけではないため直接口にすると気になりますが、煮詰まったことでとろみのあるシロップとなり、砂糖の代用として煮物などに活用する分には許容範囲でした。

もしかすると、煮詰めたことで甘味が強まり、渋みが気にならなくなったという可能性もあるのですが…とにかく捨てずに済んだ、ということが私には大きな成果です。

おわりに

昨年は、10kgの栗しごとをしました。未熟な部分は多々あったけれど、とくに大きな失敗(食べられないような完成度)はなかったので今年は調子に乗っていました。

重曹を使わない渋皮煮は、難しかった。

ただそういうレシピはたしかにあって、成功されている方もいらして、私も重曹を使わないほうが自然な方法なのかなと憧れてしまったのです。十分に気をつけたつもりでしたが見切り発車だったことは否めないので、何が悪かったのか考えながら、来年もう一度「重曹なし」にチャレンジしたいと思っています。

 

昨日の続きの猫。

椅子に取りつけるニャンモック人気は衰え知らず。

ただその椅子の座面(上階)には小さな穴が開いておりまして…

上にいる子は気になって仕方がないのです。

この穴の向こうが。

上でそんなことが起きているなんて、彼は興味ありません。

本日もおつきあい、ありがとうございました。



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