こんばんは、ヤマネコです。
わが家の郵便受けには、チラシ投函や、とびこみ営業などのご訪問を控えてほしい、と掲示してあります。
郵便受け本体を設置したときにもらったステッカーで、長年貼ったまま。あくまで家主の意思表示であって法的な効力などは何もないのですが、配慮してくださる業者さんは多いように感じています。
少し前の秋晴れのある日、昼をすぎた頃合いで自宅のインターホンが鳴りました。
今の家のインターホンはカメラつき。屋内から訪問者の姿を確認できるようになっていて、先方には申し訳ないけれど状況によっては居留守を使うことがあります。訪問販売などを断るのは苦手だし、それとは別に少し怖い経験をしたことがあるから。とくに独りの時間帯に訪れる見知らぬ相手の場合は、対応をためらうことが多いです。
その日のインターホンが鳴ったときも、家の中からそっと訪問者を確認しました。
液晶画面の映像はやや粗め。それでも相手は私服姿の若い男性で、面識のない相手だろうことくらいは雰囲気でわかりました。手には紙の束のようなものを抱えているように見えたのでセールスかなと判断し、やはり迷いながらも出ないことを決めました。
大抵はそのまま去って行かれるのですが、その日は違ったんです。
五分後、再びインターホンが反応し、同じように屋内から液晶で確認すると先ほどと同じ男性が立っていました。
ただ五分前に見たときよりも、困っているというか、焦っているというか、見ようによっては怒っているようにも感じられる印象。更にはインターホンの前を行ったり来たりし、近くの窓から家の中をを覗くような様子まで見られました。そこから私の姿が確認できない間取りなのは救いだったと思います。
相手が困っているなら対応するべきなのだけれど、苛ついているなら、怖い。出ていく勇気が持てないまま私も家の中で落ち着かずにうろうろ。すでに一度、居留守を使っている後ろめたさもあって、結局その後もう一度鳴ったインターホンも、屋内で息をひそめるようにやりすごしてしまいました。
居留守。というのはある意味怖い方法です。もしも相手がよからぬ目的、たとえば空き巣の標的となる「誰もいない家」をさがしている過程でインターホンを鳴らしたのであれば、「いない」と知らせることが得策とはいえません。
このときも、万が一入ってきたらどうしよう、とスマホを握りしめつつ猫たち全員を一箇所に集めました。ふだんから戸締りには気をつけているものの、もう一度確認。しばらく緊張して構えていたけれど、結局それ以降は音沙汰なく。途中だった仕事に戻ってそちらに集中し始めたら張り詰めていた緊張感も薄れていきました。
私の中でその一件はふんわりしたまま終わっていたのですが、つづく展開があったのは、その日の夕方のことでした。
所用で庭まで出て、ついでに郵便受けを覗いてみたら、何通かの封書などといっしょに、最近あまりお目にかからなかったチラシの束が入っていたんです。
チラシ投函をご遠慮いただきたい旨は一応ステッカーで明記しているけれど、それに気づいていてか否か、こうして紙の束が入っていることは過去にも何度かありました。ただご近所さんの話を聞く限りでは、希望を掲げているわが家はその頻度を減らせているんじゃないかなと。ステッカーの効力はそのくらいのものですが、私としては十分かなと。
この日も入っていたチラシにはとくに目をとおすこともなく、申し訳ないけれどすぐに資源ごみをまとめている袋の中へ直行。その手が止まったのは、チラシや郵便物とは別に「メモ用紙」が入っていることに気がついたからでした。
ノートから破かれたようなくしゃくしゃの紙。
そこに書かれた、ところどころぶれた文字。
一瞬、いたずらかな? と思いながらも通覧したところ、
すみません。
チラシを入れてしまいました。
ご連絡いただければ回収に伺います。
書かれていたのはそんな文章と、加えて、おそらく筆者のお名前とお電話番号。
このとき瞬時には何の報告かわからず混乱したのですが、一拍おいて数時間前の「焦っている雰囲気の訪問者」のことを思い出し、ああこれだったのか、と合点がいきました。
メモを残してくださったのは、おそらく近隣の家を一軒一軒まわってチラシを配っていた方。そのお仕事中わが家にも立ち寄り、よそのお宅と同じ流れでチラシを投函。その直後、ステッカーの存在に気づかれたのかなと。そしてこれもおそらくですが、慌てて謝罪をしてくださるためにインターホンを鳴らしたのだろうなと。
それであんなに焦ったように見えたのだと思う。そこまで想像力が及ばなかった私には相手の表情が怒っているようにも見えてしまい居留守をした結果、先方は手持ちのノートを切ってまで、なんとか伝言を残そうとしてくださったのだと思う。
理解した後はすごく申し訳なくなるのと同時に、こんなに丁寧な方もいらっしゃるのかとびっくりしました。
私が同じ立場(配る側)だったら、「ああ、やってしまった……」とは思いつつ、そのまま帰ってしまう気がします。無料のチラシだし、捨ててもらえばすむことだし、と安易に考えてしまう気がする。わざわざインターホンを鳴らしてまで謝罪はしないんじゃないかと。更にはメモと連絡先まで残すなんて考えもしないだろうなと。
そんな私だからこそこの方の配慮はすごいなと驚いたし、いつもなら即刻捨てるそのチラシの会社には好感も抱いてしまいました。
チラシの投函をしないでほしい。今回の一件からもステッカーの効力はあるのだと実感しました。
それでも入っていたチラシをわが家ならただ捨ててしまうだけだけれど、もしかしたら会社に苦情を入れるお宅もあるのかもしれません。そうなれば企業にとってもマイナスイメージにつながるし、せっかくの広告が完全に逆効果。そう考えれば、掲示があれば投函自体を避ける配慮もしていただけるのかなと。
逆にステッカーなど貼らなければ今回のような心配をさせてしまうこともなかったのですが、ほとんどのチラシが、わが家ではすぐに処分対象。資源を無駄にしないためにも、効果があるならなおのこと掲示は続けようと思っています。
あとは、私が居留守を控えること。これについては色々あったので悩んでしまうのですが、もう少し相手の立場に立つことを考えていきたいと思います。
本日の猫。
お風呂上り、洗濯予定の衣類をネットの中へ……と思ったら違うものまで入っていました。自発的に。
あのね、そこに入っていいのは衣類だけなんだ。
たしかにそれ(私の衣類)はキミの寝具でもあるけれども……
洗って乾かすまで、しばしお待ちください。
本日もおつきあい、ありがとうございました。
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