壊れて捨てたものを、ふと思い出して。

つれづれ

こんばんは、ヤマネコです。

以前に壊れて手放し、それでも不便はなかったものを、再購入しようか悩むようになりました。

ヘッドホンのことです。

以前愛用していたヘッドホンはパーツ交換などもくり返しながら十年以上お世話になりました。ただ素人には修理の難しい断線（音飛び）トラブルが起こり、とうとう買い替えを決めたのが二年ほど前のことです。

新たに手に入れたのはワイヤレスイヤホン。

実をいえば、本当はヘッドホンのほうが好きなのだけど、と思いつつも携帯性アップに魅力を感じて選んだものでした。でも使い始めたらとても便利で、軽装のまま独りで出かけるときは欠かさず持ち出すアイテムになっています。

ところが最近は外出が減り、イヤホンの出番も減りつつありました。ヘッドホンを愛用していた頃にも室内で装着することはあまりなく、ほとんど外出時専用にしていたんです。

出かける機会が減ったこと自体は「コロナ禍」という世情によるものなので、それが終息すればある程度は元に戻るはず。その間の出番があってもなくてもイヤホンを手放すつもりはありません。

ただ使わないのはもったいないなと思って、最近、庭仕事をするときに使うようになったんです。

田舎暮らしなので、庭にいるときくらい自然の音に耳を澄ませたい気持ちもあります。一方で悩ましいのが、時々ご近所さんの話し声が耳に届くこと。

塀や垣根を隔てた先、おそらくよその敷地や道のすみで、いわゆる世間話をしている声が聴こえてくる。姿が見えないことが多いので明確ではないけれど、ご近所さん同士というよりはご家族同士の話し声かなと。そうなると尚更プライベートな内容になり、それが割と大きな声でやりとりされていることもあって、聞くつもりがなくても耳に届いてしまうんです。

私もしゃがみこんで草取りをしたり、写真を撮ったりしていることが多く、きっとこちらの存在にも気づかれていない。だからお隣近所の方々は、他人が聞いていようとは想像もせずに話されているのだと思っています。

一応、外ですよ！
私ここにいますよ！

とお知らせしたい気持ちにもなりますが、なかなかそうもいきません。もちろん顔をあわせれば挨拶もしますが、それには垣根が邪魔をする。場合によっては私自身がそっと移動すればすむのですが、逆にこそこそ動いている様子を見られてしまったらいたたまれない気もしました。

それならいっそ、私自身が「気づかない」という状況にあればいいのでは？　と思って、庭仕事中にイヤホンをつけ始めたんです。

万が一私の存在に気づかれてしまったとき、変にこそこそしたり、いかにも話を聞いていた様子で気まずい顔をするよりは、「音楽を聴いているので話し声は聴こえませんよ」というスタンスでいこうかな、って。

そう単純に考えたのですが、それは私自身の心持ちの話でした。

たしかに他人同士の話し声が私には聴こえにくくなったのですが、おそらくこの「イヤホン」の大きさやデザインでは、私が装着していること（聴こえない状態であること）を相手には気づいてもらえません。何かプライベートな話題をすませた後に私が垣根を一つ越えた場所で草取りをしているのが見えたら、「聞かれた！」と焦らせてしまうかも。

今のところ（私の知る範囲では）そういう場面には出くわしていないのだけれど、他人から見て「装着しているか否かがわからない」のが、この場面においてはデメリットだなと思ったんです。