こんばんは、ヤマネコです。
防災や防犯の見直しをしながら思い出した出来事がありました。
だいぶ前に、実際に体験したことです。
私は関東の端っこで田舎暮らしをしています。買い物や散歩に出るときはいつも同じような道を通るため、多少ルート変更をしても視界に移るのは変わり映えのない光景。住宅街、田畑、遠くには山並み。大通りや駅前まで行けば多少は拓けているけれど、基本的には田舎のよくある風景そのものです。
そんなわが家から最寄りのスーパーまでは徒歩五分ほどの距離なのですが、時間帯によってはお店の近隣まで誰とも顔をあわせないこともめずらしくありません。住宅街には変わりないのに、真昼間に歩いていてもなんだか寂れた印象を受ける地域。それでも通勤通学時間には人通りが増えるという印象を持っています。
あるとき近くの小学校が終わるには少し早い時間帯に、私一人でスーパーに向かっていました。いつものように徒歩で。やはり誰にも会うことなく、のどかな風景の中をのんびり歩いていました。
そんな中、遠くからちょっと大きな音がし始めたんです。聞いたことはあるけれど聞き慣れた音ではありません。そしてあまり耳心地よい音でもありませんでした。
セミの声のような。
でも人工的な機械音。
具体的には何の音かわからず悩みながらも歩き続ける私に、その音は近づいてくる様子。どうやらこれから私が曲がる予定の角の向こうから、その音の主がやってくるらしいと気がつきました。
相手はたぶん、走っている。相手の足音も耳に届き始め、ようやく私自身も歩調を緩めました。そのままのスピードで進めば角でぶつかってしまいそうなので、相手から姿を現してくれるのを待つことにしたんです。
怖いという気持ちもあったけれど、その直前、ぼんやりと音の正体に気づいたからでもありました。
飛び出してきたのは、見る限り登下校途中の小学生でした。迷いながらも声を掛けたら止まってくれたものの、泣きじゃくってパニック状態。そこで足を止めてくれたのはおそらく私の性別や年代(主婦っぽさ)も理由だったかもしれないけれど、その子がもう体力の限界というほど走り続けてきたためなのではないかなと。
そして持っていたのは、やはり防犯ブザーでした。
ピンを挿しこめば音が止まるタイプだったので、会話をするためにひとまず音を止め、無断ながら近くのお宅の敷地に二人で入らせてもらいました。見ず知らずのお宅だったけれど緊急事態だと思ったからです。
ランドセルを背負っていたので、おそらく近くの小学校の生徒だと想像できました。ぱっと見では負傷などの確認はできないものの、会話もままならない状態。その時点では何が起こっているのか推測しかできなかったけれど、防犯ブザーを使いながら走ってきたのだから何かから逃げている途中だということには確信がありました。
詳細は省きますが、その後は二人で逃げこんでいた敷地の方へインターホンで声をかけ、その子の親御さんを呼び出し、警察にも対応していただくという流れに。
ひどい恐怖体験だったと思うけれど、とっさの判断で防犯ベルのことを思い出して実際に使い、機転を利かせて行動できた小学生。その子はとても頭がよく、勇気があると思いました。
個人特定につながらないよう配慮しつつ、だいぶ前の話を書いています。私自身も近くでこんなさわぎが起こったことに驚き、一時期はその道を歩くのが怖くなりました。
ただその後はパトロールなども強化され、近隣の学校などでも様々な指導があったそう。その甲斐もあってかひとまず似たような事件が起こったという話は聞いていません。私の生活も今はなんとか元どおりに。
事件直後は不安や恐怖を感じるのとともに、たまたま逃げこんだ先のご一家が温かく対応してくださったこと、駆けつけたその子のご家族や警察関係者の方々の丁寧さや迅速さに心を打たれました。お子さんの心のケアも丁寧にしてくださるのだろうなと思えたことが不幸中の幸いでした。
ただ後からふと気になったのは、防犯ブザーのこと。
実は夏の間に、また防犯ブザーの音を聞いたんです。確認したわけではないのでおそらくですが、あれは防犯ブザーの音。そのとき私は家の中にいて、外で音が鳴り始め、数秒のうちに止まりました。
ただ私が防犯ブザーだと気づいた(推測した)のは音が止まってからでした。直後に二階の窓から外を見まわしたり、玄関の外へ出てみたりしたのですが、とくに変わった様子はなさそう。でも仮にこれが本当のSOSだったとして、こんなに遅い確認の仕方では逃げていく子どもの背中すら目に入らなかっただろうなと。
- けたたましい音を響かせながら走っていく子どもに対し、通りがかって助けられる大人がほとんどいない(人通りの少ない道が多い)地域であること。
- 防犯ブザーを聞いてもとっさに何の音かわからない大人がわりと多いこと。
- 防犯ブザーの音だとわかっても、私のように行動が遅くて間に合わない人もいるだろうこと。
こういったことの一つ一つも課題といえます。
この件は友人とも話したことがあるのですが、子どもたちに防犯ブザーを使うようその方法やタイミングを指導するわりに、聞くほうの大人が「この音なんだっけ?」ということが思いのほか多い印象でした。また今回の私がまさにそうだったのですが、時間をかけて思い出すことはできても、とっさの判断が難しい。わかった後に何をしたらいいのか? を考えるためには更に時間がかかりました。
また私の実体験では犯人(その子が振り切ってきた相手)が追ってはこなかったものの、万が一対面していたらと思うと行動の想像がつきません。ましてや家の中でブザーの音を聞いたとして、状況がわからないまま出ていく勇気が持てるかどうか。正直、答えに詰まります。
まずは子どもにブザーを持たせること。
同時に大人が音の判断をできるようにしておくこと。
その上でどう行動すればいいのか考えておくこと。
防犯ブザーを子どもに持たせた後は、せめてここまで想定するのが備えなのかなと。実際には更なる臨機応変さが必要ですが、私の中ではブザーさえ持っていれば、持たせていればいいのだという認識でいたのを反省しました。
そんな話をもとに、ここ数年で色々と考えていたことがあります。
大人への予告なく、子どもたちに防犯ブザーを鳴らしてもらって即座に反応できるか? の訓練をしたほうがいいのでは……というようなこと。下手をすればいたずらの助長になってしまいそうだし、多用するとオオカミ少年にもなりかねないので、年に一度くらい無作為に。
そこまではしないとしても、その音を聞いた大人がどう対応すべきか? きちんと音を認識できるか? などの確認は大人のほうですべきだなと再確認。
私が夏の間に聞いた家の外から響く防犯ブザー(だと思うもの)は、おそらくお試し的なものだったのだと思います。あれからだいぶたっているので、そうでなくては困るというのも理由。おかげで色々思い出し、考えるきっかけになりました。
次にあれらの音を聞いたときは、これまでより素早く動けるようにしたいです。
本日の猫は、数日前のお蔵出し。
今日は私にとって涼しくてありがたい一日でした。
でも猫たちの中には寒さゆえに毛布にくるまっていた子が多々。
まだ残暑も続きそうな気がするのだけれど、秋冬準備も進めようと思います。
本日もおつきあい、ありがとうございました。
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