こんばんは、ヤマネコです。
初春の頃に友人から連絡が来て、「子猫を拾った」と言われました。
飼うつもりはまったくない。
でも見捨てられない状態。
ひとまずどうしたらいいか。
色々聞かれ、私もあたふたしながらできる対応をし、当初の問題はなんとか解決。その友人は、件の子猫と今も幸せに暮らしています。完全に犬派だからと豪語していた友人が、子猫の魅力にあっけなく堕とされていました。
めでたしめでたし。
と思ったのですが、その後もちょっとした問題や心配ごとが出てくるたび連絡をもらっていて、少し前に訊かれたのは「こわれにくい猫用おもちゃ」のこと。
保護した当初ぐったりしていた子猫は友人の元ですっかり元気になり、やはりというなんというか大変やんちゃに育っているようで、買ったおもちゃがすぐに破壊されてしまうのだとか。だから「丈夫さ」でおすすめのおもちゃを質問されたのでした。
いくつか思いつく範囲で答えたのですが、本音をいえば、子猫がおもちゃをこわすのは当たり前のことだと思っています。
健康状態の良好な子猫であれば生後間もなくして歩き始めるので、うっかり人生(猫生)の酸いも甘いも熟知しているのでは、と錯覚することがありました。
でも実際にはただの(?)赤ちゃんです。見るもの、聴くもの、さわるもの、その大半が初体験。そんな中で初めて見るだろう猫じゃらしにもとびかかっていく本能ってすごい、と思うのですが、それでもやっぱり遊び慣れてはいないはずでした。
おもちゃに対して、牙を立て、爪を立て、のしかかったり、ひっぱったり。
おそらく「こわれる」という発想自体がないので、ためらいなく全力で。
そこまでされたら市販のおもちゃが再起不能になるのは時間の問題。そうなったとき、人間目線では「このおもちゃでは強度的にダメだ」と思いがちなのですが、最近はちょっと違うのかなと考えるようになりました。
私が勝手に導き出した結論からいえば、「初めての猫じゃらし」は、
- 人間にとっては、おもちゃ。
- 猫にとっては、獲物であり「食事」。
かな、と思うようになったんです。
そもそも子猫が、生まれて初めて見る猫じゃらしにもとびかかるのは、狩猟本能。それは獲物をを狩る本能で、生きていくために必要な技術でもあります。それを刺激されている以上、子猫は無意識の中でも「生きるため」にとびかかっているんじゃないかなと。
でも人間と同居している猫の場合は狩りをすることが食事に直結することは少ないはず。猫じゃらしも食べられない素材が一般的だし、人間目線では「遊ぶため」に振っているもの。
お互いの認識には明らかな齟齬がある。
子猫としても、捕獲した猫じゃらしが全然おいしくない。早い段階でそのことには気づくはず。しかも猫じゃらしとは別に毎日ごはんが出てくるので、少しずつ「猫じゃらしは食事じゃないこと」を知るのと思う。
- 人間にとっては、おもちゃ。
- 猫にとっては、獲物であり「おもちゃ」。
ちょっとずつ認識が合致していく。そういうことなのでは、と想像しています。
猫の中での認識が変化するのと前後して、その遊び方も変わるように思うんです。
最初はとにかく「捕獲すること(食べること)」だけが目的だったのが、捕獲するまでの流れを「楽しむこと」が目的になっていく。これらはあくまで私の経験則と想像ですが、目的が変わると猫の「おもちゃへの接し方」にも大きな変化を感じます。
- おもちゃがこわれない程度にキャッチするようになる。
- キャッチしたおもちゃも早めに手放すようになる。
こんなふうに変化する。なぜなら、おもちゃがこわれると遊びが終わってしまうから。いっぱい遊びたいから、おもちゃはこわさないようにしないと、という好循環。
日々の猫じゃらしタイムの中で、猫たちもそんなことを学んでいくに違いない。うちの子たちはそのくらい頭がいいのだ、と思いたいのです。
また猫じゃらしを(こわされつつ)たくさん振っている人間は、振りスキル(?)もアップするはず。猫とおもちゃのひっぱりあいになったときの力加減などもわかってくるし、時には「相手が放さないときは自分から手放す」などの駆け引きもしたくなる。
そこまでくるとよほど華奢なつくりでない限り、以前には「こわれやすい」と評価したはずのおもちゃでも長持ちしてくれる場合も少なからずありました。
まとめると、私が思う「猫じゃらしがこわれる理由」は品質などの問題を別にすれば二つ。
- 最初の段階では、猫にとって「生きるための狩猟」になっているから。
- 猫も人間も、お互いに「遊び方」や「力加減」に慣れていないから。
その対策方法とはいえないかもしれないけれど、いくつもこわして、それでもめげず、たくさんの猫じゃらしタイムを経ることが大切かなと。友人にもそれとなくすすめておきました。
いってしまえば、最初のうちは「こわされて上等」の気持ちで価格を優先して選び、たくさん遊びながらお気に入りをさがすのもいいと思います。一本目から丈夫さを追求するより、コミュニケーションをとりながらお互いの経験値を上げることで、おもちゃジプシーが終わるかもしれません。
本日の猫。
こうやって兄猫をしとめに……もとい、じゃれていくときの力加減も、少しずつ学んできたのだと思います。たぶん。きっと。そうでなければ兄猫も黙っていないはずだから。
どこまでも自由に生きているように見えますが、成長しているな、と。
……結局は親バカ目線でしめくくってしまいます。
本日もおつきあい、ありがとうございました。
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