つげといす、知らなかった櫛のこと。

こんばんは、ヤマネコです。

二年近く前に、祖母の遺品から「つげ櫛」を譲り受けました。

ずっとほしかったもので、購入も検討していた頃合いのこと。縁あって手元に届いた櫛を、それからずっと大切にしています。

ところが今年の春先、少し困ったことになりました。

祖母の遺品から、更なる櫛が続々と出てきたのです。

 

私にとっての愛用品は、すでに手元に二つ(一つ目二つ目)。新たに出てきたものがあるなら他の人に使ってもらいたいと思ったのですが、身近な人たちはこぞって興味がなさそうです。

古いものだし手放そうか…という話が出たとき、想定外の情報が入ってきました。

「その黒っぽいのは、イスの櫛じゃないのか」

と。

 

いすの櫛、なんて未知の言葉だと思ったけれど、そういえば「つげ」櫛さがしをしていた頃に、「いす」という素材を見た記憶がありました。つまりはちがう木を使った櫛なのか、と思うと興味がわいてきて、処分を前提にしてよければと、個人的な探究心のため譲っていただくことにしたのです。

それがちょうど晩冬のころの話。そのあと色々(猫のことが)あった私は櫛どころではなく、最近ようやく落ち着いてきたため、夏の間に「いす」のことを調べてみました。

 

いすの木(いす櫛・いすのき櫛)、を総括すると…

  • 植物名は「柞(イス・ユス)」、「柞の木/蚊母樹(イスノキ・ユスノキ)」。
  • 芯材の色は、淡い紅褐色や紫褐色(これが完成時の櫛の色)。
  • 大木に育ち、家具や楽器、工芸などにも用いられるが、櫛に使える部位はほんのわずか。
  • 日本産材の中で最も重く、最も強度のある材に分類される。
  • 非常に硬く加工難易度は高いが、耐久性・耐朽性に優れた仕上がりになる。
  • 皇室でご婚儀などに使われているのが、いす櫛。

などなど。

手元の櫛が本当に「いす」という素材なのか? は、身内からの意見と、ネット画像との比較から想像することしかできません。つくられたのが昭和以前であることは確実だと思うのだけれど、当時は現行品のように素材名を彫り入れることが一般的ではなかったのかなと(それ以前に、いす櫛は素材名を入れないのかも)。

ただもし本当の「いす櫛」だったらと思うと、気軽に捨てられなくなりました。

 

ものを手放すとき「再び必要になったらまた買えばいい」という考え方で、気持ちの整理をすることがあります。でも今回の品は、その「再び手に入れる」の難易度が相当高そうで怖いのです。

もったいないし、古道具好きとしてはこれを使いたいという欲もあるけれど、使わない道具をあれもこれもと残す気持ちはもうありません。ただ私の手元に置かないまでも、価値のわかりそうな方に(身近にいるいつもの面々だけでなく)声をかけてみたほうがよいのではないかと。

 

というわけで、現在はすべての櫛を私が一時的に保管しています。

出てきたときは薄汚れていた、いすの櫛。ところがそのお手入れ方法についてはいくら調べてもわからなかったので、万が一ダメにしたら処分しよう(保管期間中のことは全面的に任せてもらったので)という意気込みで、つげ櫛と同じように椿油に浸けました。

それが一ヶ月ほど前のことで、その後は「つげ櫛」と「いす櫛」を併用(試用)しています。

 

いす櫛は素材が硬いという説明でしたが、こちらの歯は(つげ櫛と同じく)肌あたりがよいように処理されているので痛くもありません。使用感は椿油の恩恵もありそうですが、つげ櫛を使っているときと変わらずしっとりさらさら。問題なしです。

これでつげ櫛より素材として強靭なら、粗忽者の私とは相性がよいのかもしれない……。

 

シンプルライフ系のブログを拝誦していると櫛の人気の高さを強く感じるのですが、一般的には「新しいもの(ブランド品など)のほうがいい」「櫛よりブラシのほうがいい」「つげ櫛の扱い方がわからないし面倒」というような意見も多々あることを実感します。私の周りでは、どちらかと言えばそういう考え方が主流なのかなとも。

逆に、身内にも多い古道具好きな方は、すでに何十年と愛用している櫛をお持ちだったりするので(今更別のものはいらないという方ばかり)、今回の櫛の嫁入り先は今のところ完全に未定のままです。

ちなみに一本だけ形状が違うのは「びん櫛」と呼ばれるもので、日本髪を結うとき鬢(びん:耳ぎわ左右の髪)を整えるのに使われる櫛なのだとか。こちらの素材は、おそらくつげ。さすがにこれは自分たちでは本来の用途で使えることはないかなと思うのですが、他の櫛と同様に一時的に保管することにしました。

 

最終的に、本当に親族間で必要とされる様子がなければ手放す方法(捨てることは考えていません)をさがすつもりですが、いずれも祖母が遺してくれたものには変わりないので、私の手元に置くものを(つげ櫛を手放して)「いす櫛」にする選択肢もあるかなと思い始めています。

そんな贅沢な悩みを抱える、2018年9月4日「くしの日」。
今月も月課で行っているくしのお手入れを始めます。

 

本日の猫。

大型の台風が通過していました(ます)が、みなさまご無事でしょうか?

ぼくらはずっと寝てました…嵐がくるとどうしてこうも眠くなるのか。
今はまだ眠いので、明日はそれをテーマに議論したいと思います……。

(予定は変更が前提です)

本日もおつきあい、ありがとうございました。



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